画家の名言をまとめたWebページを読んでいて、印象派の画家、ルノワール先生の言葉が心に引っ掛かってしまった。
「芸術家というものは、自分に才能があると思うとだめになってしまう。つけあがらず、職人みたいに仕事をしてこそ、はじめて救われる。」
出典と原文を探している。いつ、誰に言った言葉なんだろう (出典をご存知の方はぜひ教えてください。)
だめになるとは、どうなってしまうんだろう。はじめて"救われる"とは。"認められる"とか"喜ばれる"とか"幸せになる"とかではない。"救われる"と書いてある。切迫したものを感じる。ルノワール先生、だめになりかけたり、救われたりしたことがあるんだろうか。それとも、近しい人に何か起きたのを見たんだろうか。
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Wikipediaを読んで、ルノワールがかつて磁器の絵付け職人として働いていたのを知った。
ルノワールは、後に次のように回想している。
"4年間の見習期間を終えて18歳になった時には、私の前には陶器絵師としての洋々たる未来が開かれていた。この仕事では、1日に6フラン稼ぐことができた。ところがその時、思いがけない大災厄が起こって、私の夢は台無しにされてしまった。……ちょうどその頃、陶器や磁器にプリントの絵付けをする方法が発明され、人々は手で描いた絵よりも機械の仕事の方を一層好むようになったのだ。"
絵付職人としてのルノワール先生、機械文明発達の影響で失職していたのだ。プリント技術投入の時期がもう少しずれていたら、私たちが日本で「ルノワールの絵」を見ることはなかったのかもしれない (遅かれ早かれ、工房は閉鎖されただろうけど...。)
「機械技術が専門家の仕事を奪うこと」「人間が何らかの専門的能力を持つこと」それから「芸術家と職人の生き方の違い」..全て、自分にとって強い興味のあるトピックだった。引き続き、冒頭の言葉の出自を探していきたい。関係する資料をご存知の方はぜひ教えてください。