雑記

「何が正しいなんてないんですよ」

うろおぼえの川 ... 先日亡くなった研究派遣先の上司さんが、ある時ぼそっと「何が正しいなんてないんですよ」とおっしゃった。私は、その一言で納得した。お昼休憩の時間、食堂から居室に戻る時だった。絵のことについて話していたと思う。話の流れは思い出…

魂を

12月29日の日没前、是政橋の上で多摩川を描いていた。下書きを終えて、ちょうど紙に水を置き始めたとき「こんにちは」と声をかけられた。紺色のサファリハットを被った中高年の男性で、首から黒い一眼レフを下げていた。 ... 「あなた、絵を描いているんです…

頭の中から声がする (ロンドン研修の思い出)

Fortnum & Mason on Sunday Night (日曜夜のフォートナム&メイソン) 8年前の冬、ロンドンで描いた水彩画。 ... 「海外行くと人生変わるよ」と聞く。本当だと思う。私の人生も変わった。 2011年の6月から12月、当時東工大の学生だった私は、大学の博士一貫教…

多少は動けるようになった人

らくがき: なみだ (Doodle: Tears) 14.8 x 10 cm ... Blogを書いたり消したりしている。まとまったことが書けない。計算機は雷の日に落としたきりで止まっている。人間は、最近製作らしい製作をしていない。らくがきをしたり、海を描きに行ったり、海を見な…

ルノワールの失職について

画家の名言をまとめたWebページを読んでいて、印象派の画家、ルノワール先生の言葉が心に引っ掛かってしまった。 「芸術家というものは、自分に才能があると思うとだめになってしまう。つけあがらず、職人みたいに仕事をしてこそ、はじめて救われる。」 ピエ…

近況 (と妄想)

らくがき Doodle はがきサイズ (10 x 14.8 cm) --- 製作の手が止まりかけている。すみません。応援してくださる皆様、いつもありがとうございます。(雑記を書くのは、だいたいひよって手が止まりかけている時です。) らくがきばかり描いてしまう。描こうとし…

絵の完成

静物画の習作 (A study of still life painting)45 x 31 cm 横浜画塾・笠井先生の教室で描いた静物画。先生から講評を頂いた後、持ち帰って描き込んだ。 ... 絵を終わらせる過程はとてもつらい。途中で手を止めて、最後まで描ききらなければ「これが完成した…

絵が薄暗い

印刷会社さんのカレンダー企画にお声掛け頂き、オンデマンドカレンダーのための絵を12枚選んだ (I・F・Nさん、いつもありがとうございます。) 並べてみて「何か薄暗い」と思った。カレンダーは日常使いで目に入りやすいし、未来の予定を確認するためのものだ…

新宿御苑

新宿御苑 (Shinjuku Gyoen National Garden) 33.2 x 24.2 cm ... 横浜画塾のスケッチデーだった。かなりの高温・多湿の日で、笠井先生もクラスのみなさんもずっと「あつい」と言い続けていた。塩飴や梅干しを食べながらスケッチした。 11時に笠井先生のデモ…

トマス・モア「ユートピア」

トマス・モアの「ユートピア」を読んだ。 ユートピアの語源になった本と聞いて、前から気になっていた。 1516年出版の本。このころ日本は戦国時代をやっていた。1543年鉄砲伝来、1549年にザビエルがキリスト教を伝えに来ている。 ユートピア (岩波文庫 赤202…

以前駅のあった場所

以前駅のあった場所 (A place where used to be a station)33.2 x 24.2 cm 静岡鉄道駿遠線の廃線跡。静岡県吉田町の遠州神戸 (えんしゅうかんど) 駅跡。 ... マスキングで紙白を抜いて道の白線を表してから三角の暗い影を描いた。終わってから、参考にしてい…

絵を描く機械

数年前「絵描きになりたい」と思ったとき、実際になりたかったのは「絵を描く人間」というよりも「絵を描く機械」だった。機械のように淡々と絵を生成する。内部に型を持っていて、型を使って出力する。淡々と入力を受け、淡々と処理し、淡々と出力する。そ…

街頭スケッチ

街頭スケッチ。新宿駅南口の歩道でライブをしていた3ピースバンド。勢いがあってかっこよかった。しばらく見ていたら警察官3名が来てライブは終了した。 こんな感じだった。 ... 最近、人や物の形が思ったように描けなくてつらい。「絵を描く」「とにかく製…

ビル・エヴァンス タイム・リメンバード

ビル・エヴァンス。鉛筆。 ... 映画「ビル・エヴァンス タイム・リメンバード」を見てきた。ジャズピアニスト、ビル・エヴァンスの生涯をたどるドキュメンタリー。 joji.uplink.co.jp 自分はジャズについて全然知らない。いつ頃かGoogle Homeが適当にジャズ…

本当の絵描き

ぐだぐだ考えている...。 「本当の絵描き」ってどんな人だろう。自分のイメージでは、公園で絵を描いている。それから寡黙 (なぜだろう)。 でも「本当の絵描き」とか、自分で書いておいてなんだけど「本当」も何もないんじゃないのか。絵を描いている人は絵…

一筆描きの車

長沢節先生の「わたしの水彩」という本がある。閉校した画学校、セツ・モードセミナーの教科書のうちの一冊だった。 セツに入学した頃、人物画の教科書「デッサン・ド・モード」と一緒に購入した。校舎のカフェスペースのテーブルで友人や先輩と一緒に読んだ…

探索

探索。新しい筆と新しい紙。らくがき。 ... 先週の金曜日、スケッチ用の軽い画板を作ろうと思い立って、資材店に行ってポリカーボネート中空ボード (910 x 910 mm) を買ってきた。そのあと包装を解かずに壁際に置いてしまっている。どれくらいの大きさにする…

ばら

赤いばら。頂きものの水彩紙に描いた。 ... 東京在住・インド系フランス人の友達 (国際派) から水彩紙をひと束もらった。帰省の時にパリの画材店で見つけてくれたらしい。くすんだ色にザラザラの手触り、パッケージには「100% coton」の文字と、薄暗い工房の…

レモン

レモン (9.5 x 10 cm)。2日くらい手の中で転がしている。 ... 気持ちが落ち込んだとき、青空文庫で梶井基次郎の檸檬を読むことにしている。 https://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/424_19826.html 「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧さえつ…

斜めに家が建つ

らくがき。 ... 井の頭公園でお店を出しているとき「あなたの絵は自由ですね。私はこうは描けません。どうやって描くんですか」と尋ねられたことがある。お仕事で建築図面を引いている方だった。答えに困った。「絵が自由かどうか」分からない。それから、自…

何も描く気がしない

何も描く気がしない。とりあえず絵の具に触ってみる...。 うーん。まあいいか...。次の元号から何かしよう...。 とか言ってるうちに令和に変わってしまった。良い時代になりますように。

敬意

桜の枝 (13.5 x 18.5 cm)。駅の花屋さんで買ってきた。 ... 去年の今頃、井の頭公園でお世話になっているさぶりゆきこさんが桜のスケッチをグループ展で展示していた。素敵な絵だった。紙白の多い小さな絵で、桜が紙の向こうに「本当にある」感じがした。さ…

私が絵描きになった理由

昨日ETVの「ヘウレーカ!」に、大学院の指導教員の 柏野牧夫先生が出演していて、聴覚研究の奥深さについて又吉直樹さんと話していた。(お元気そうで本当に何よりです。) メインテーマは「空耳はなぜ聞こえるか?」良かったらNHKオンデマンドで見てみてくだ…

何もしていない訳ではないですが

らくがき: 謎の乗り物?に乗るサンタクロース...ギャラリー華音留のオーナーさんから頂いた「クリスマスっぽい外国の路面電車」のリクエストについて考えている。 ... らくがきクラブをしたり、星新一関連の論文を書いたり (告知post) 決して何もしてない訳で…

Macが立ち上がらなくなりました

愛用のMacBook Proが立ち上がらなくなりました。数ヶ月前から妙な動きが増えていたので、ついにその時がきたようです。Appleストアの方によると、修復は難しいかもしれないとのこと...。絵描きを始めてから先、ずっと一緒に作業してきたマシンなので、感傷的…

あわい

きのう描いた水彩。 「あわい」という言葉があるらしい。漢字は「間」だけれど、漢和辞典を見ても「あわい」の読みが載っていなかった (「あい」という読みからの派生だろうか。) 「淡い」の音とも重なって、なんとなく境界のぼやけたような雰囲気を表せるの…

5/31の中央線沿線らくがきクラブで描いた絵。 「あなた一体どういう絵が描きたいんですか」と聞かれると本当に答えられない。どういう絵か分からない。キャラクターか、似顔絵か (苦手だけど)、食べ物か、風景か...。いつも、こんな想像が頭の中にある。核戦…

自由でいること

「夢の桜」制作終盤。子どもたちが描いてくれた絵を並べている。色さん撮影。 アートプロデューサーの色さんからお声掛けいただき、大田区のコミュニティスペース「こらぼ大森」でのイベント「大森アートフェスタ 夢の桜プロジェクト」ライブペイントに参加…

「水の流れに逆らわない」

昔描いた水彩: 2012年頃、絵の学校(セツ・モードセミナー)で描いた人物画。 ... セツ・モードセミナーのカリキュラムには「人物水彩」という、着飾った人物を見ながら3時間程度で大判の絵を仕上げる授業があった。この絵はその授業中に描いた。家に絵の具セ…

もう一度

きょうの水彩: 横浜港 (以前掲載した絵のバージョン違い) 透明水彩で描いていると「あー、これはやってしまった」と後悔することがよくある。最近「やってしまった」と思っても、その時点で白紙からやり直すのではなく、いったん気を落ち着けて、もう少し描…