ビル・エヴァンス。鉛筆。
...
映画「ビル・エヴァンス タイム・リメンバード」を見てきた。ジャズピアニスト、ビル・エヴァンスの生涯をたどるドキュメンタリー。
自分はジャズについて全然知らない。いつ頃かGoogle Homeが適当にジャズのコンピレーションを流していたとき、前からとても好きで、ずっと名前が分からなかった曲がか流れた。「OK Google、この曲なんて曲?」と聞いて「ビル・エヴァンスのワルツ・フォー・デビィです」と返ってきた。それでビル・エヴァンスのことを知った。
映画序盤、1950年代のニューヨークの映像が流れる。なんかかっこいい。ジャズの世界は本当にかっこいい。
それからビルのデビュー。詩的な曲名。繊細な音。こんなピアノを弾く人がどういう人生を送ったのか知りたくなってしまう。事前にWikipediaの記事は読んでいる。だから、どれだけ荒廃した人生を送ったか、文字の上では知っている。
インタビューを受けていた、かつてのミュージシャン仲間 (音楽の世界では有名な人かもしれない。自分は名前が分からない) が
「誰だって、苦しむことなしに、いい仕事がしたいだろう? - ヘロインがピッタリだった。」
と言う。また別の誰かが
「ビルは『頭の中の声が静かになる』と言っていたよ。」
頭の中の声....。みんな思ったより頭の中から声がしている。いい仕事をするのに、薬を打って、それを鎮めてやっていかないといけないのか。そうしないとあの美しい音楽ができないのか。きつい。だとしたら、本当にむちゃくちゃだ。
ビル・エヴァンスの親しい人は次々不幸にあう。バンドメンバーの事故死。別れた内縁の妻の自殺。新たに付き合い出した妻との別れ。長く精神的な支柱となっていた実兄の精神の病、拳銃自殺。そして本人も51歳で血を吐いて死ぬ。
映画を見て「薬物はやりたくない」と思った。色々しんどくても、手を出せばさらにしんどいことになる。あの「美しさ」への到達が、たとえば薬物のおかげだとして、そんなトレードオフがあってたまるかと思う。毎日ピアノを練習する姿勢の方を見習う。そして穏やかに楽しく生きていきたい。