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アトリエ・サルバドールの冒険

イラストレーター・ますとみけいこのブログです。お知らせ・雑記・スケッチ・ファンアートetc.. を投稿します。

宇宙時代の貨物

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きょうの水彩: 種子島宇宙センターを飛び立つASTRO-H (ひとみ)。人工衛星や探査機は無事打ち上げに成功したもののみ「ひとみ」「あかつき」などの名前が与えられる。

種子島を描くためH-IIAロケットに関する資料を集めている最中、三菱重工のサイトでH-IIA,H-IIBのプロモーション動画を見つけた。格好良い。「どんな貨物も、約束の時間に、約束の軌道へ」...物流企業のCMフォーマットだ。なるほど、宇宙時代の人工衛星は「貨物」なのか...。


MHI打上げ輸送サービス プロモーションムービー (Short.ver)

でも、きっと関係者は毎度打ち上げのたびに「頼むから上がってくれ」と祈っているに違いない。

サイトにはH-IIAの「ユーザーズマニュアル」もあった。

三菱重工|MHI打上げ輸送サービス H-IIA/H-IIBロケット│ユーザーズマニュアル

旅の風景

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スケッチ: 指月山 (しづきさん) と釣り人。

山口県萩市で見た光景。特徴的な形の小山が湾に張り出している。江戸時代には山頂に毛利家の城があったらしい。

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絵を生む鋳型

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色試しの紙: パレットに余った絵の具を適当に置いて、新しい色と形を探す。

落書きと絵の境界はどこだろう。もしも落書きと絵の境界が分かって「絵」というものが持つ重要な構造を摑むことができれば、鋳型で鋳物を作るように、いくらでも絵が描けるようになるかもしれない。

そういうことを考えてきて、今も考えている。「下手の考え休むに似たり」とはまさにこのことで、いつも休憩中みたいな感じになっている。

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色試しの紙: 明るい色のパレットだった。

黒の情報表現

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きょうのスケッチ: 贈り物の花籠。

絵の中に黒を入れた瞬間、絵のリアリティが一気に上がる。たぶん、黒がその絵の世界の中の「一番暗い何か」「一番黒い何か」「一番はっきりしている何か」の表現を一手に引き受けてくれるのだと思う。

答えなくてもいい

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きょうの水彩: 空の習作。

 

絵を描いているとき、頭の中から声がすることがある。

「こんなことに何の意味があるの?」

院生の頃、論文を書いているとき同じような声を聞いた。「何の意味があるの?」と頭の中から声がした。書かなければ修了できない。すると「修了することに何の意味があるの?」と頭の中から声がした。意味がないならもうやらなくていい。苦手なことをやらなくていいのは凄くいい。そうして声の言うことを聞きながら過ごすうち、自律神経が失調した。

絵を描く仕事を始めた今も、頭の中から声がする。頭の中に次々言葉が覆いかぶさってきて、作業の手を止めようとする。一度深呼吸をして、そのまま作業を続けると、しばらくして声がやや遠ざかっているのに気づく。そのまま作業を続けると、徐々に絵ができあがってくる。

ICU本館

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水彩スケッチ: 3月中旬の風景。建物に重なる木をいくつか省略した。

国際基督教大学 (International Christian University: ICU) 本館の取り壊し計画がたったと聞いて、オープンキャンパスの日にお邪魔した。中央線の武蔵境駅からバスでおよそ15分。キャンパスは広く、森に囲まれた静養地のような雰囲気だった。

本館の中は、四角く機能的で研究所らしい作りだった。細長い廊下にそって、ナンバリングされた教室のドアが並んでいる。廊下の壁に電話が設置されているのが面白かった。正面入口の柱には聖書の言葉が埋め込んであった。

They will beat their swords into plowshares and their spears into pruning hooks. Nation will not take up sword against nation, nor will they train for war anymore. (Isaiah 2:4)

こうして彼らはその剣を打ちかえて鋤とし、その槍を打ちかえて鎌とし、国は国に向かって剣をあげず、彼らはもはや戦いのことを学ばない。(イザヤ書 2:4)

この建物はかつて中島飛行機三鷹研究所の本館だった。中島飛行機創立者の中島知久平氏は、武蔵野の地に富士山の見える広大な敷地を買い上げて、日本の航空機開発の重要拠点にしようとした。研究所は1941年から建設が始まり、その後本館が完成、そこから45年の敗戦までの短い間「富嶽」「剣」などの戦闘機の設計・製作が行われたらしい。東京ドーム13個分にあたるICUの敷地も、もとは全て研究所のものだった。今でも大学のすぐそばに中島飛行機の流れを汲んだ富士重工 (スバル) の事業所がある。

ICUは、国内外のキリスト教関係者の尽力で1953年に発足した。戦後解体された中島飛行機の土地がキャンパスとして選ばれた。Wikipediaには「ダグラス・マッカーサーが設立財団の名誉理事長だった」というような記述があるけれど、出典先のリンクは切れていて、大学のウェブサイトにも載っていない。本当にそうだとしたら、というか、そうだとしなくても十分に占領政策との関係がある大学だったんだろう。本館は空襲で爆撃を受けた箇所を修復され、四階部分の増設工事の後、そのまま学舎になった。たぶんICU創設者達は「教育によって日本人の精神を内面からつくりかえる」ことを目指していたのだと思う。それで兵器製造の拠点であった三鷹研究所の外枠をあえて残し、内側を教育の場につくりかえて、自分達の目的の象徴にしたのだと思う。柱に埋め込まれた聖句もその意思を暗示している。

関係した人々の熱意と思惑を想像した。中島知久平氏は大戦前夜のどさくさに紛れて、航空機技術者の理想郷を実現しようとした。ICU創設者達は戦後のどさくさに紛れて、博愛的立場から宗教ミームの拡大を図ろうとした。リベラルアーツ教育は日本に根付いたんだろうか。自分の頭で考える力は?

建物をしっかりスケッチするのは難しかった。風景スケッチは楽しい。描いているといつも何がしかの発見がある。例えば、偶然かもしれないけれど、この建物の窓枠は十字のシンボルになっている。目立つところに十字のシンボルを立てなかったのは、創設者の配慮なのかもしれない。誰かの意思が見える建物はとても魅力的だ。取り壊される前に見に行けて良かった。

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影を伴う陶酔

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きょうの水彩: どこかで見かけた構図。

ふと「影を伴う陶酔」を表すとしたらどういう色になるだろう、と思った。

少し試したあと上の絵で最終的に使ったのは、キャプトモータムバイオレット、ペリレーングリーン、ゴールドオーカーの3色。青系をほとんど入れなかった。理由は分からないけどとにかく上の組み合わせが良い気がして、色試しのあとは粛々と塗った。

キャプトモータムバイオレットは使いがちだ。酸化鉄 (Pigment Red 101) 由来の不透明な暗紫色で、少し混ぜるだけで画面に不穏な雰囲気を与えてくれる。名前の由来もひどく物騒で、Winsor and Newton社の紹介ページ曰く、

It was called Caput Mortuum (meaning 'head of the dead') by the Romans, referring to the colour of dried blood. 

ローマの人々がCaput Mortuum (「死人の頭」を意味する) と呼んだ顔料であり、これは乾いた血の色を指す。

 ...らしい。

昔授業で習った話では、赤血球にはヘモグロビンというタンパク質が入っており、この中に含まれる鉄原子が酸素と結合して血中に酸素を輸送するということだった。実際の血と似たようなものを画面に塗っていることになるのかもしれない。

...ごたくはともかく...影を伴うなんちゃら...はちゃんと描けたんだろうか。女性の髪に鉄錆を塗りたくって本当に良かったんだろうか...。