斜めに家が建つ

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らくがき。

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井の頭公園でお店を出しているとき「あなたの絵は自由ですね。私はこうは描けません。どうやって描くんですか」と尋ねられたことがある。お仕事で建築図面を引いている方だった。答えに困った。「絵が自由かどうか」分からない。それから、自分は自由な人間でない。自由な人間だったら、答えに困ったりしないで思いついたことをどんどんしゃべる。とにかくその時は「パースをうまく引けないので、絵の中で建物が斜めに立ちます」と答えた。

経験的に知ってることはある。「自由な絵を描こう」とすると絵が変になる。「"とらわれないでいる"ことに"とらわれる"」から、何かがねじれる。"自由"という言葉はとりあえずどこかに置いておいて、好きなものや気に入った景色、何となく浮かんできた色や形を描くとき、あとで見返して「あ、なんか良かったな」と思う。言葉の性質は絵の輪郭線と似ている。何かもやもやしたものを切ったり整理したりするとき、言葉は本当に役に立つ。そうでなく、むしろ「もやもやしたい」と思うとき、自分は何がしか頭をぼんやりさせて言葉を遠くに置いてくる。