東京駅

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東京駅 (33.2 x 24.2 cm)

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東京駅は「特別になろうとした駅」だと思う。

1914年、日本がいわゆる「西洋に追いつけ・追い越せ」をやっていた頃、国家の威信をかけて建築された。八角のドームのあたり、完全な西洋風でない謎の趣がある。 建築探偵・藤森照信先生は「ヨコヅナの土俵入りを写したもの」と著書に書いていた。私もそんな気がする。八卦良い、というか、張ったり、というか。

全体のフォルムはやたらボコボコしている。窓枠の模様はブロックごと、1,2,3階で細かく違う。あちこち謎めいた飾りがあって、横全体に白いラインが走っている。この特徴を余すところなく描こうとすると、それなりにつらい。全部水彩でやろうとすると、相当つらい。何回か、のっぺりしたまま仕上げてみようとして、失敗した。一気に「らしく」なくなってしまう。東京駅はボコボコしている。ボコボコしてるのが東京駅みたいだ。

描いているとき、何かの「執着」と向き合っている感覚がする。国家の執着、建築家の執着、どこかからやってきた全然違う何かの執着、何よりも自分自身の個人的な執着。そういうものが徐々に混ざって、だんだんおかしくなってしまう。